私と中国とのご縁
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西双版納から届いたエアメール
2022年11月3日
「中国」との出会い
作者:向井萌香

 突然ですが、皆さんは外国語と聞くと、何語を思い浮かべますか。大多数の人は、きっとこう答えるでしょう、「英語」だと。私自身、現在外国語学部の中国語専攻に所属する人間として、自己紹介をする際は、「外国語を学んでいます」といいます。すると、ほぼほぼの人は、「英語を話せるのはすごい」といいます。「英語」と言っていないのに、外国語=英語と認識されてしまうのです。私は、現在それをとても悲しく思います。

 しかし、思い返すと、中国語や中国文化に触れる前の自分もそうであったと思います。「中国」と聞いても、ニュースを見て、歴史を学んで、隣国でありながら、どこか遠い国の話を聞いているようでした。また、勝手なイメージながら、どこかに「怖い」といった固定概念がありました。そんな私が中国を意識し始めたのは高校一年生の時でした。私の学校は国際色豊かな学校ではなく、たまたま同じクラスに中国人が二人いました。これは、今思うと運命だと思います。初めは、その子らと席も遠く、全くと言って良い程、話す機会もありませんでした。しかし、偶然話す機会があり、なんとその子と仲良くなりました。話す内容は、勉強の話、なんら日本の友人らと変わりません。私自身、その子が中国人であるということを半ば忘れるほどに、二人とも日本語が上手かったのです。

 そのため、中国語や中国文化に触れる機会はまったくありませんでした。しかし、ある日、一緒に遊びに出かけた日のこと。長い待ち時間のなか、好奇心で尋ねてみました。中国語で私の名前はどう発音するのか、と。もちろん中国語を学んでいた経験もなかったため、そのときの自分の発音は正確にはほど遠かったと思います。しかし、彼女の発音は、日本語とはまた違う良い響きに感じました。

 帰ってからも、その響きを覚えていたのか、ちょうど中国ドラマを見つけました。話のネタになるかと思い、見始めましたが、内容も面白く、何よりやはり中国語の四声の響きが心地よく感じました。

 そこから、時が過ぎ、進路調査には「中国語」を学ぶことのできる学校に進学したいと書くようになりました。理由としては、やはり良さを知った以上、自分でも学び、そして発音してみたいと思ったからです。

 そのため、私は中国語を大学から学び始めました。初めは慣れぬ四声や巻き舌に苦労しましたが、ある程度会話ができるレベルまでに達しました。そして2019年の夏、私の希望で中国に旅行に行くことができました。三日間という短い期間で、北京の天安門広場、万里の長城、王府井、頤和園を観光しました。タクシーで巡ったのですが、運転手の方が美味しい場所やおすすめスポットを教えてくださったり、知り合いの中国人の方が一緒に案内してくださったり、中国語を学ぶ前の怖い印象とは真逆の優しいイメージを持ちました。また、天安門広場を見た際は、古代にタイムスリップしたと思い、王府井にいった際は、とてつもない近代化を感じました。

 これ程良い場所ですが、まだまだ日本人の中国に対する固定概念は強いと思います。そのため、私はこの中国の良さや、中国人の優しさをもっと他の人にも知ってもらいたいと思います。日中関係や政治の難しい話もそうですが、初めは誤解や知らないことから生まれるマイナスが多いです。そのため、それぞれが互いの文化を知る機会や交流を増やし、小さなことからマイナスをプラスに変えることが一番重要であると思います。「人一人の歩みが歴史を創る、路是脚踏出来的、歴史是人写出来的。人的毎一歩行動都在書写自己的歴史」から、私自身も学んだ中国語や中国文化を広めることに従事したいと考えています。そして、その道がより明るい日中の未来につながることを望みます。