私はこの5月で90才になります。小学校2年の時にアジア太平洋戦争がはじまり、中学1年の時に戦争は終わりました。も少し早く生まれていたら戦争にかり出されて、戦死してしまい、いまこうして文章を書くことができなかったと思います。
中学高校と進んで、いろいろな小説やルポルタージュを読みました。
宮本百合子の「道標」。ルイ・アラゴンの「レ・コミュニスト」。そして中国の老舎の「四世同堂」などです。いづれも大長編大河小説です。日本フランス中国の大変動期を必死に生きぬいた若い群像の活動をえがくものがたりです。「四世同堂」は水餃子をつくる場面くらいしか思い出しませんが。
さらにアメリカのジャーナリストによる中国革命運動のルポルタージュを次々と読みすすました。スメドレーの「中国のうたごえ」「中国は抵抗する」「行軍は前進する」「朱徳の生涯・偉大な道」スノーの「中国の赤い星」などが、中国のイメージを形づくりました。スノーもスメドレーもそれぞれの内容は忘れてしまいましたが、私の長い人生の生きかた、考えかたに大きな影響があったことにまちがいありません。いま米中関係が大きい関心をよんでいます。バイデン大統領は「競争する、対決する」と力んでいますが、中国の李首相は「共に進む」と呼びかけています。(「スポークスマン」Vol.14、p6)
我国も日中不戦の誓いに思いをいたし、東アジア平和共存の道を歩む義務があると思います。