日本と中国、歴史的に深いつながりのある両国の国交が正常化されてから今年で50年になり、日本人は国交正常化直後に始まったパンダブームから近年の中国語学習ブームにいたるまで、中国の雄大な歴史が生み出した文化に夢中である。
私も中国の文化に夢中になっている日本人の一人であり、私が「中国」と関わった中で思い出に残っているエピソードを紹介する。
私は2018年の秋から冬にかけての1学期間、上海にある復旦大学への交換留学で半年間中国に滞在していた。留学開始まもない9月下旬の放課後、上海の最も有名な観光地の一つである外灘のベンチ座り、対岸に見える大都会上海の街並みを眺めながらライトアップが始まるのを待っていた時その少年と出会った。
その少年は祖父に連れられ、祖父の方から「あなたの隣に座っても良いか」と一言尋ね、私の隣に少年と祖父が座った。少年の祖父は私に「どこからきたのか」、「観光客か」と話しかけてきた。教室で先生が話す教科書的な中国語とは全く違う老人の話す中国語を私はうまく聞き取ることができず、私は何度も何度も質問を聞き返してしまった。
祖父のとなりで私と少年の祖父のコミュニケーションを興味深そうに観察していた少年も私に話しかけてきた。日本人と初めて出会ったようだ。少年は好奇心を抑えきれない様子で「中国と日本はなにが違うのか」、「中国に来てみてどう思ったか」、「日本のお金はどんなものか」日本への質問をマシンガントークでぶつけてきた。少年の話す中国語はとても聞き取りやすく、少年も真剣に私の言葉に耳を傾けてくれたおかげで、私の話す下手な中国語でもなんとか会話が成立していた。日本のお金の事について質問されたとき、私は財布の中にまだ少し残っていた日本の紙幣や硬貨を「将来の日本旅行で使ってくれ」と伝え、少年にプレゼントした。そのときの少年のとてもうれしそうな表情を今でも鮮明に覚えている。
外灘の少年が大人になったとき日本と中国の関係はどうなっているだろうか。私は全く心配していない。なぜなら少年が持っていた日本に対する好奇心、これは両国友好における最も大切な相互理解そのものであるからだ。私も少年のようなな好奇心を持ち相互理解と両国の友好に努めていきたい。
最後に、外灘で出会った少年が日本旅行に来ることを心から願っている。